私のバリトンホルン購入遍歴

テノールホルン・バリトンホルン・カイザーバリトンとは?

ドイツや中欧・東欧でユーフォニアムの役割を担う楽器。イギリス式のユーフォニアムとは楽器の左右の向きが逆で、バルブはロータリー式を採用。管体は殆どが卵形ですがチューバ型の楽器も有ります。

ユーフォニアムよりもやや管の細いB♭管の楽器を「テノールホルン」と呼びます。もともとはトランペット型でテノール音域の楽器でしたが、次第にトランペット型から、卵形やチューバ型に移行したようです。

「ドイツ式バリトン」や「カイザーバリトン」と同じ外観ですが、これらに比べてベルの直径は小さく、管の内径は細めです。

殆どのテノールホルンはロータリーが3つですが、4つ有るものも存在し、ロータリーの数でテノールホルンかバリトンホルンの区別をするのではなく、ボアやベルの大きさで区別します。

 

「バリトンホルン(ドイツ式バリトン)」と「カイザーバリトン」の区別ですがカイザーバリトンはより管体を円錐形に近づけようとロータリーを通る間にもボアの広がりを持たせ、1.2番ロータリーより3.4番ロータリーが大きく設計されています。しかし、中にはモダンタイプと言って、ロータリーの大きさの変わらないカイザーバリトンも有ります。

 

イギリスのバリトンホーンと同じ種類の楽器と見なされる場合が多いですが、テノールホルンの管はイギリスのバリトンよりももっと太く、その役割はむしろユーフォニアムに近いです。マーラーの交響曲第7番「夜の歌」にはテノールホルンのパートがあり、冒頭から荘厳なソロを奏でます。

 

なお、イギリスで「テナーホーン」と呼ばれる楽器(日本やアメリカでは「アルトホルン」とも呼ばれる)は、4度高いサクソルン属のE♭管の楽器で、両者は英語圏においても時折混同されることがあるため、「in B♭」「in E♭」と調を付け加えるなどして区別されることもあります。

 

日本では、ユーフォニアムと同じ音域でヴァルヴがピストン式ではなく、ロータリー式の金管楽器の事を、「テナーチューバ」と言う事が有るようですが、海外や本場のヨーロッパでは、「テナーテューバ」と言う名称は、楽器名ではなく、オーケストラにおけるパート名に過ぎない、と言う考えが主流です。つまり、テノールホルンやドイツ式のバリトンやユーフォニアムそしてワーグナーテューバ(B管)などの楽器が演奏するパートを、オーケストラでは「テナーテューバ」と称していると言うことなのです。

※日本のユーフォニアム教則本で、楕円形のドイツ式バリトンの事を「テナーテューバ」と紹介していたり、カワイが昔ロータリー式のバリトンホルン(テューバ型)を「テナーテューバ」として製造・販売していた事もあり、こういった呼び方が定着してしまったのかも知れません。

ジンバオJBEP-1110(中国)

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裏側 

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ケース 

当時の写真が無い為ホームページより拝借。見た目は銀色なので、銀メッキかと思いきや指紋が取れずどんどん白く曇りだし、楽器屋さんで聞くとニッケルかクロームメッキではないかと。初本番は2004年12月27日


私の最初のバリトンホルンは、以前(いつかは忘れたが2000年頃かな?)にアメリカのアマゾン.comを見ていた時にオーバルシェイプ(楕円形)のバリトンホルン(テナーテューバ)が300ドルほどで売っていました。それまで楕円形のバリトンホルンを吹いた事が無かったので欲しいなと思い洒落で購入して見ました。今のようにヤフオクで福楽や喜望峰等の中国製の楽器がまだ売り出されてなかった時代でした。楽器の料金はクレジットですぐ支払えましたが、送料をペイパルと言うシステムで支払わなければならず、英語のサイトで分けが分からないのでしばらく放置していました。しかし、せっかく購入した楽器だし、300ドルとそんなに大金でもないがやはりもったいないので辞書を片手になんとか送料を支払い、ようやく入手できました。やって来たのは後から分かりましたが中国製の「ジンバオ」と言うメーカーの楽器。そしてちょうどその頃ポルカバンドを始めた音楽仲間に「俺、ドイツの地方で使われてる楽器持ってるで~。やっぱポルカするなら本場の楽器使わなアカンで~」と、半ば無理やりメンバーに入れてもらったんですが、なんせ中国製、音程も悪いし下のB♭以下は音抜けも悪い。「そのピッチの合わなさ加減が田舎の村バンドっぽくてええねん」とメンバーは言ってくれますが、やはり趣味でやってるんじゃなく、仕事ですので気が引けます。何とかトリガー付けて吹いてましたが、3回ほどの本番でジンバオの購入・改造費以上を稼ぐことが出来たので、これを機会に良いのと買い換えようと思いました。
 

ヴェルトクラング(ドイツ)

ヴェルトクラングのロゴ 

ロータリーレバーは短い 

珍しく3番スライドは裏側で上向き

2代目となる楽器は2006年9月ネットオークションにて購入。1960年代製・ドイツの名門"Weltklang(ヴェルトクラング)"のバリトンホルンでした。 Weltklangは現在もドイツ"B&S"グループの中核ブランドとしてMeinlWeston,HansHoyer,Uebel,Scherzerなどとともに有名ですが、1960-70年代の東ドイツ国営企業化時代に管楽器の都:Markneukirchen(マルクノイキルヒェン)の統一ブランドであったことでも知られております。この楽器はヤフーオークションで長いこと出品されていて、最初16万くらいだったのがだんだん下がってきて、落札希望価格が12万、スタートが10万からに下がったのを期に入札して見たら、10万で落札できました。ジンバオの楽器と、吹く機会の無いアルトホルン2台を売った金で購入しました。しかし、この楽器も音程はジンバオに比べてはるかに良いが、ロータリーのレバーが今のような「ボールジョイント式」ではなく、楽器屋さんが言うところの「芋ネジ式」と言うのと、ばねが弱っていて動きが鈍く、輪ゴムで補強して演奏してましたが、2011年のイースターフェアで書いてもらったアドリブソロに動きが付いてこれない事をきっかけに買い替えを決意しました。

アマティCEP-531

バネは内バネ式 

 5番スライドは長めで下向き

4番管にもウォーターキイが有り便利

3代目となるバリトンホルンは、2011年3月にPROJECT EUPHONIUMより購入。チェコのアマティ製。大変珍しい、5ヴァルヴのドイツ式バリトン。ラッカー仕上げ、中細管(中細と太管の間くらい)。アマティの第5ヴァルヴは普通は半音より若干高い程度に下げる役割のものらしいが、この楽器は特注製作で、第1ヴァルヴよりも若干低い音程に設定されています。これにより、第1ヴァルヴで上ずりやすい音程を、第5ヴァルヴで演奏したり、オーケストラでテノールテューバとして使う場合に、ペダルトーンの音程を安定させたりすることが可能になります。ロータリーキャップの中央にマイナスの精密ドライバーで外す事が出来る小さなネジがあり、それを外すとロータリーキャップをしたまま注油が出来たり、大概のバリトンホルンには付いていないウォーターキイが4番管に付いていたりと、便利な楽器でしたが、ベルが26センチとちょっと小ぶりなのと、1~4番ロータリーが内バネ式で弱ったバネの交換が出来ない事なども有り、ちょうどPROJECT EUPHONIUMに良いのが出たので買い替えを決意しました。

カイザーバリトン チェルベニー CEP-741-5MRX(チェコ)

ベルクランツとチェルベニーのロゴ

5番スライドは短め

  バネは外バネ式  

4代目の楽器は2013年6月30日にPROJECT EUPHONIUMより購入。チェコのチェルベニー製のカイザーバリトン。珍しい5ヴァルブ、レッドブラス、ラッカー仕上げ、ニッケル・ベルクランツ付き、ミディアムシャンクマウスパイプレシーバー、ボア16.00mm、ベル300mmといカイザー(皇帝)の名に相応しく今までで1番大きな楽器です。(カイゼルバリトンとも言うが、カイザーバリトンといったほうが格好良いのでそう呼ぶ事にします)本来のカイザーバリトンは管の形状をより円錐形に近づけようと、1・2番ロータリーは15mm、3・4番が16mmと言ったようにロータリーを通る間にも管が徐々に太くなるようになっていますが、今回購入したのはモダンタイプと言う事でボアの変化はありません。(しかしボアは全て最大の16mm)。
殆ど新古品と言った綺麗な状態で、傷や凹みもほんの僅かです。5番ヴァルブはアマティのと違い、半音より少し高い音程でトリガーなどではできない、低い音程の音を高く取ることが可能です。所有する2003年(10年前)のチェルベニーのカタログには載ってない品番で、当時の品番は全てCEP-何々となっています(チェルベニー・ユーフォニアムの略か?)1番近似の品番はCEP-541-4Mで4ロータリー、カイザーモデル、ベル300mm、ボア16.00mmで28万円。もっと古いカタログ(発行年月日が書いてないのでわかりませんが、内容に「90年代を制する」と書いてあるので20年くらい前の物と思われる)は、値段は書いてないが品番にAEP-741MRカイザーモデル、レッドブラスベル300mmニッケルシルバーリムと言うのがあり、それの方が今回購入したのと類似している気がします。しかし、彫刻やロータリーバネ(内バネ式)は違っています。

テノールホルン  チェルベニー CTH-721-4MR(チェコ)

カイザーとのベルの違い(30Cmと24Cm)

 ベルクランツ付き

ロータリーは通常の4本

5本目となるオーバルシェイプの楽器は2015年2月1日にドルチェ楽器大阪店で購入。チェコのチェルベニー製のテノールホルン。レッドブラス、ラッカー仕上げ、ニッケルベルクランツ付き、ミディアムシャンクマウスパイプレシーバー、ボア13.00mm、ベル240mm


リサイタルでテノールホルンとピアノの為のソナタ(タカーチェ作曲)をやりたいなと思っていましたが、当時持っていたのがバリトンホルン(しかもカイザー)。これで演奏したら詐欺やろ!と突っ込まれそうなんでテノールホルン欲しいなあと思っていた所、ドルチェ楽器のクリアランスフェアのチラシに載っていたので試奏しに行き、気に入ったので即決購入。(お安くしていただきました)
なかなかテノールホルンの出物が無い事や、実際に試奏して決める事が出来ない事、4本ロータリーのテノールホルンも滅多に見かけないと言う事で、今回はラッキーでした。
軽くて小さいので幅も取らず、狭い会場での演奏などにも重宝しそうです。

​2015年に管楽器修理工房KBFさんで主管トリガーを取りつけました。